子宝どっとこむ

 

 千羽鶴と只管打坐(2)

先々週から、ある方のために千羽鶴を折っています。ようやく666羽(111枚入り6袋)折りました。会社の同僚が45羽手伝ってくれ、娘も20羽ほど折ってくれていましたので、自分で折ったのは600羽ほどかと思います。

なぜ千羽鶴と只管打坐を同時に論じようと思うのかというと、ひたすら座禅することとひたすら折ることに何か通じるものがあるように思うからです。

600羽も折っていますと、何も考えないでも折れます。折り方も、見本に記載された折り方は初心者向きに迷わせないことを第一の目的に記載しているようであり、結構無駄な手順があります。美しく折ろうと思うと、手順の流れの美しさにも目が行くわけで、無駄を無くし、効率的な折り方に行き着きます。但し、私の場合は折り方も2段階、ないしは3段階ありました。

当初、といっても3年前に祖父のために折っていたころですが、効率化に目覚め、手順を変えてみました。そのときの基本的なコンセプトは流れ作業です。作業を分断し、同じ行程をひたすら繰り返す。そして、100羽程度、同じ行程が終わると、後半の行程に100羽全てに取り掛かる、というものでした。これは、折り方を完璧に体が覚えきっていない場合に有効な気がしますが、一方で、前半は鶴を折っている気がしないというデメリットが大きいようにも思います。

ところが、鶴も随分折れるようになってくると、手が無駄に動くことのロスの方が、同じ行程ばかり行なうことで得られる効率化よりも大きくなっています。試しに、行程を分けずにやってみると、手があっちに行ったりこっちに行ったりしない分、非常に滑らかに折れることが分かりました。

しかし、前半の行程の一部は2枚まとめて折るということをした方が、折る回数が少なくなるので効率が良いと感じていました。しかし、最後は、やはり手の滑らかな動きこそが一番美しく、かつ一番早いということに行き着き、一枚ずつ折ることとなりました。この境地に至って初めて只管打坐との比較論ができるように思います。また、祖父のときは手が痛くて痛くて仕方がありませんでしたが、無駄に力まなくなったのか、今回は全然痛くなく、呼吸するほどに折るとまでは行かないにせよ、かなり自然な感じです。

そんなわけで、今回の千羽鶴はできた鶴もかなり美しいと思いますが、折る行程自体も非常に美しいと思っています。また、折ること自体、全く苦痛ではなく、どちらかというと楽しいですし、もっと言えば、折っていないと落ち着かないぐらいです。千羽鶴依存症というわけではないと思いますが、お菓子を食べ続けないではいられないとか、タバコをすい続けないではいられないとかに似た境地でなくもないかなと思ったりします。

鶴を折っているときはひたすら鶴を折っているのかというと、そういう時もありますが、平日は仕事がありますので、そうも言っていられません。そこで「ながら折り」になっているわけで、そこは只管打坐とは大きく異なる点ではあります。仕事と言っても、私の場合、メールの返事や報告書、議事録など、文章を書くのに結構な時間が費やされます。また、プログラムを書いたりデータベースを構築するというのも、考えている時間の方が長いものです。鶴を折っていると、次の一文が思い浮かばないとか、思うようにシステムが組めないといった理由でイライラするということも減り、いい感じです。

一方、業務時間外に鶴を折るときは、ほとんどの時間、ひたすら折っています。このときは只管打坐といっていいのではないかと思います。無心かどうかというと、折る相手との思い出に耽ったり、病気に向かい始めてから今に至るまでの彼の気持ちを慮ったり、今後の自分の生き方を考えながら折っていますので無心なときはあまりないのですが、それが悪いとは思っていません。但し、彼の病気が回復することを祈りながら折ることはしません。それは打算の心だと思うからです。

只管打坐も無心がベストかもしれませんが、無理に無心になろうと意識しているとすれば、その方が害が大きいと思います。そして、病気の回復を祈って鶴を折るのと同様に、悟りを得ることを願って座るのは邪道でしょう。

P.S.
打算、あるいは煩悩的にさえならなければ、考えながら折るのはありだとすると、業務時間内でも、推敲しながら、あるいは検討しながら折るのは只管打坐だと言ってもいいかなと思えてきました。つまり、座禅→文章→座禅→文章というサイクルであったり、座禅→プログラミング→座禅→プログラミングというサイクルであったりしているわけで、座禅の間はひたすら座禅(千羽鶴)だと言えなくもないかな、と。

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