子宝どっとこむ

 

 危険な話の終焉を祈って(6)

しばらくぶりに温心堂主人による『危険な話の終焉を祈って』から引用します。

結果は期待したものとはなりませんでしたが、佐賀県民が住民投票に向けて行動を起こしたこと自体、非常に賞賛できることだと思いますし、いつかこれが結果につながりうるものだと信じております。

「...まだ、小さ過ぎて自分の意見を言う機会を与えられない子どもたち、そして
まだ生まれていないために意見を言うことのできない遠い未来の子孫たちに
代わって意見を述べたい」。県政史上初めて住民の直接請求を受けての臨時
県議会。プルサーマルは住民投票で判断してという住民代表の意見陳述は
力強く、そして静かに議場に響きわたった。佐賀新聞コラム 有明抄より - 2007.2.2 -

半減期が2万5000年というプルトニウムは、人類には制御・管理できない危険なものだ。この及ぼす影響はあまりにも大きく、広く、あまりにも長い。一度汚染された大地に生物が棲めるようになるには10万年の保障が必要とされる。未来の子孫はおろか未来の生物でさえ存続できるかどうかの問題だ。知事が1年前、唐突に「安全は確保される..」と発表して以来、にわかに県民運動が始まった。政治家にとっては粛々とこなす政治日程だったのかも知れない。県民との対話を避け、署名簿の受け取りさえ拒み、「反対している人々に何度説明しても同じだ」と言った知事や、与党の議員に声を届けるため、一年の時間とおびただしい労力が費やされた。2ヶ月の期間中、53191筆の署名数に達し、このうち49609筆が有効と認められた。届けられた山のような署名簿をパラパラとめくる知事の姿がテレビに映る。そして、1/25日、知事はこの署名を、「条例を制定する必要性は見いだせない」とする意見を付けて臨時県議会に提出した。

いままでの知事の言動から予想はされたが、真っ当な議論を恐れるかのように、最初から議論はかみ合わない。県議会は1/30日に開催され、知事は、「慎重に検討を行ったので、安全性は確保される」、「県議会において様々な議論が行われ、議会制民主主義が機能しているので、県民投票の必要性は見出すことができない」と提案理由を説明する。冒頭に掲げた記事は、このあと行われた県民の会、代表・満岡氏の意見陳述の様子である。プルサーマルのみならず原発の問題点を広く網羅し、原子炉の制御性・核燃料サイクル・コスト・放射能汚染・安全性・国の安全管理体制・事故時の想定・国際公約・使用済みMOX燃料・次世代への責任・次世代のエネルギー..について述べた後、次のように結ばれた。

今回、県政史上初めての県民投票条例を一蹴された今、県議会の皆さまの
現在から未来にわたる県民の守護者としての行動 を期待します。そもそも
県政は、県民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は県民に由来し、
その権力は県民の代表者がこれを行使し、その福利は県民がこれを享受
するものです。私たちは県民として、プルサーマルを行うことが国策だから
ではなく、佐賀県民がこのように幸せになれると、或いは未来の佐賀にこん
な素晴らしいことが起こると言う展望を見せて頂くよう強く思うものです。

1/30日に始まった臨時議会は2/1日、文教厚生委員会で否決され、さらに2/3日の本会議でも賛成5人、反対33人で否決された。新聞はこの5日間の動きを連日トップに載せ、他に論説や社会面の記事で取り上げた。県民はここに来て、ようやくプルサーマルとは何かを知り始めたところだ。知事や議員の皆様、「判断が正しいのなら恐れることはない」、県民に議会の扉を開いてくれ。このことを県民の会は訴えているのだ。虚心坦懐に話に応じれば、1年もの月日と5万人もの署名は必要なかったのだ。

プルサーマルを容認した古川知事と自民党県議が臨時議会でたびたび
引用したのが「間接民主主義(議会制民主主義)」の概念。専門性が高く、
全国的な影響を及ぼすプルサーマル計画のような問題は、県民から選ば
れた知事と議員が判断すべきというものだ。ある自民党県議は「間接民
主主義の否定で、我々への侮辱だ」とも言い切った。しかし、現在の古川
知事と県議が選ばれた4年前の選挙では、プルサーマル計画は争点には
なっていなかった。県民がこの問題を念頭に投票していないのは明らかだ。
読売新聞ニュースサイトより - 2007.2.3 -

上掲の記事は読売新聞の解説である。県民投票に厚意的なものと私には思えた。地元紙・佐賀新聞にも3日の論説で「住民発動の基本権...」と県民投票を支持する論が張られた。しかし、同日の紙面には1000万円はかかるかと思われるプルサーマル推進の全面広告と、さらに別のページにも下段1/3を使った放射性廃棄物の地層処分の広告が掲載された。数日後..また似たような「理解に努めるの広告」が掲載される...一口1000円のカンパを募って行った署名活動に比べ、あまりにも景気の良すぎる話だ。広告を糧とする新聞社やメディアの公正さと限界に釈然としないものを感じた。

否決された後、記者会見での代表の言葉は滔々と淀みないものであった。

ご支援ご協力いただいたみなさま、どうか本日の結果に気を落と
されることがありませんように。私たちはどうどうと胸を張って、
自分たちの子どもたちに、君たちと君たちの子どもたちと、そして
そのまた子どもたちのために一生懸命がんばったよと、言えるだ
けのことはして来たのですから。県議会の録画を観ていただければ
心ある人にはわかっていただけるでしょう。
1年前に県知事がいわゆるプルサーマル安全宣言をだしたときには、
県民の関心はここまでは高くありませんでした。2010年にプルサーマ
ル計画が稼働しはじめるまでにはまだ時間があります。県民はようやく
プルサーマル計画について知りはじめたばかりです。私たちはこの
活動を通してたくさんの仲間と信頼を得ることができました。そして
失ったものは、なにもないのです。
マハトマ・ガンジーはこう言っています。
重要なのは行為そのものであって結果ではない。
行為が実を結ぶかどうかは、自分ではどうなるものではなく
生きているうちにわかるとも限らない。
だが、正しいと信じることを行いなさい。
結果がどう出るにせよ、何もしなければ何の結果もないのだ。
そしてこうも言っています。
善きことは、カタツムリの速さですすむ。と
県民の皆さま、残念ながら古川康佐賀県知事と県議会の大部分の
与党の議員の皆さまは県民の意思を問う条例案を否決しました。
この方々のお名前をしっかりと胸に刻み、今後、否決した議員の皆さま
がどのように県民の声を聴き、どのように未来を子ども達に残そうとし
ているのかをしっかりと見守りましょう。

温心堂主人との出会いが、もしかすると自分にとって非常に重要な出会いであったのではないかと、後日気がつく気がする今日この頃です。

 Trackback Pings(0)

No trackbacks found.

 Comments(0)

No comments found.

 Post a Comment

コメント用フィード